2019年 年頭所感

変化の年

一般社団法人 日本鋳造協会
   会長 伊藤 光男

明けましておめでとうございます。

会員並びに関係各位の皆様方には2019年の新春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。また、協会の運営に当たり、皆様方には格別なご理解とご協力を戴いておりますことに御礼を申し上げます。

アベノミクスのもと経済は緩やかに上昇し、鋳造業界に於きましても2016年秋口から生産量は上昇し2017年、2018年(予測)と前年を上回る状況で推移いたしましたが、製造業、とりわけ中小の製造業にとっては原材料・副資材の高止まりエネルギー・運賃の上昇・人手不足など様々な要因により厳しい経営を余儀なくされました。とりわけ人手不足は深刻でお客様の希望納期に合わせる生産に苦労していることと思われます。そんな中、経済産業省様から下請けの取引慣行の改善が提唱され、それに基づき行動した結果、十分ではないものの適正価格への改善が図られ模型の保管に関しても進展がみられました。また、協会といたしましても労務費の上昇、労働条件の改善にかかる費用が自社のコストに及ぼす影響が解り、お客様に提案できるフォーマットを作成いたしました。また、若手を中心に鋳造業におけるIoT推進特別委員会を結成し、3月には報告会を行う予定です。

2019年は変化の年、不透明な年になると思われます。

外的要因といたしましては米中貿易摩擦の影響です。これは単なる貿易不均衡の話ではなく、米国の安全保障、知的財産の不正流出等の要因が有り、簡単には解決しないだろうとも言われています。これにより中国の製造業は減速を余儀なくされるでしょう。また、中国国内の環境規制が製造業の更なる減少に影響を及ぼすものと思われます。それらの状況が日本国内にどのような影響をおよぼすか不透明ですし、景気の減速も予測されます。

内的要因といたしましては4月から施行されます外国人労働者と働き方改革です。外国人労働者に関しましては国会の議論の中では拙速であるという意見もありますが、従来の実習生あるいは留学生の就労と言った不透明な実態から正規の制度にするという意味で歓迎すべきものと思いますし、その方向に行くべきものと思われますが、中国の少子化・タイ・台湾の鋳造業に於ける人手不足(とりわけ仕上げ工程での人手不足)の状況を見た時に外国人労働者のみで人手不足の解消にはならないでしょう。また、4月からの働き方改革は、もちろんその方向に行くべきですし、そうしなくてはなりませんが、中小企業にとってはかなり厳しい状況になると思われます。現在有効求人倍率は職業全体で見れば1.45(2018年10月)ですが、鋳造業が含まれている金属材料製造等の分野では3.16であり、中小企業に於いてはそれ以上であると思われます。

これらの問題を解決するには、高付加価値化、生産性の向上を図ることが不可欠です。そのためにはIT化(IoT,AIなど)、自動化、ロボット化、そして確実に利益の出る経営をし、変化に対応できる体質・体力を付けなければいけません。自助努力が第一ですが、特に中小企業の場合は人材・資金の両方とも不足しており個々の企業での対応は難しい面もあります。ものづくり補助金やIT補助金その他の制度を活用していくことが一つの解決策になるでしょう。

来たるべき変化に対応できるよう、今後とも関係各位のご支援ご協力をよろしくお願いいたします。皆様にとって2019年が幸多き年になりますようお祈りいたします。