2020年(令和2年)年頭所感

変化への対応

一般社団法人 日本鋳造協会
会長 伊藤 光男

明けましておめでとうございます。

会員並びに関係各位の皆様方には2020年の新春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。また、協会の運営に当たり、皆様方には格別なご理解とご協力を戴いておりますことに御礼を申し上げます。

足元の景気は2019年夏頃から下降局面に入りました。これは2018年より顕在化した米中貿易戦争の影響による中国経済の減速がその大きな要因であると思われます。2019年の鋳造業界の生産量は2018年に比較して減少しており、原材料によって多少の変動はあるものの概ね、原材料・副資材の高止まり、エネルギー・運賃の上昇、人手不足などにより厳しい経営を余儀なくされる一方、足元では受注の減少が深刻化しつつあり、雇用調整助成金の申請をする企業も出ております。米中貿易戦争は5G、知財、軍事などの覇権争いであり、容易に解決には至らないという見方が一般的のようで、今年も厳しい状況が継続することが予測されます。

昨年の鋳造協会の事業を顧みますと鋳造カレッジ等人材教育の事業は順調に推移し鋳造技士は1000人を超える予定です。また、懸案でありました「SEMによる鋳造欠陥の解析事例」も出版されました。この解析事例は実際の鋳物に生じた欠陥をSEM、EDSにより解析したもので、それぞれの鋳造企業にとって欠陥発生原因の究明のお役に立てるものになると存じます。この出版に際しましては、草野産業㈱様からのご寄附により創設した基金を活用させていただきました。この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。そして、所謂世耕プランの一つであります木型、金型の保管料などの実現に向けては、経済産業省様の「型取引の適正化推進協議会」に藤原協会役員及び田島協会役員が出席し、(1)型取引の取引条件の明確化」、(2)「型管理の在り方」について、目安の設定も含め検討し、報告書がとりまとめられました。さらに、協会では現在の運営組織が会員の皆様方にとって、より使い勝手が良くなるよう見直しの検討しております。アジアでは、中国の鋳造協会の提唱によりアジア鋳造協会(AFA)が昨年の9月に発足いたしました。これは従来からあったアジア鋳造フォーラム(AFF)を発展させ参加国も7か国・地域から12か国・地域に増加いたしました。これは、まさに中国が中国の一帯一路政策を踏まえてのAFAと思われますが、協会としてもアジアの鋳造業界がより発展していけるような提言などをしていく所存です。

冒頭でも述べましたように足元では景気は下降局面にあります。そのような状況下でも生産性の向上に向けた取り組みと適正な取引慣行に向けた取組は継続していかなければならないと存じます。一方で中国をはじめとして製造業に対する変化のうねりはますます拡大するものと推察されます。中国でもベトナムでも環境のモニタリングが要求されるようになってきました。東アジア、東南アジアの中で2020年代以降も人口が増加していく国はインドネシアだけだそうです。それらいろいろな事を考えた時にこれからの鋳造業は生産性を高めていかなければ生き残りは厳しくなるでしょう。IT化、自動化、ロボット化などあらゆる手立てを考慮し省力化、省人化を進めていく必要があると存じます。然しながら中小企業ではなかなか資金面、人材面で厳しい状況であると思います。日本国として鋳物を始めとする素形材産業に対する支援が今ほど必要な時代はありません。もちろん自助努力が前提ですが、産学官が一致協力していかなければいけません。鋳造協会といたしましても微力ではございますが協力をしていきたいと存じます。

今後とも、関係各位のご支援ご協力をよろしくお願いいたします。皆様にとって2020 年が幸多き年になりますようお祈りいたします。