ご挨拶
このたび、第8回社員総会におきまして、会員の皆様のご推挙により第五代会長に選任いただき、その責任の重さに身の引き締まる思いでございます。浅学菲才の身でございますが、よろしくお願い申し上げます。会長就任にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
日本鋳造協会は、2005年7月に鋳造3団体が合併し、鋳造の中核団体として設立されました。初代加藤喜久雄会長は、鋳造産業ビジョンを作成されその後の協会運営の指針を示されました。第二代中谷兼武会長は、2008年9月のリーマンショックにより激減した需要による経営の危機に直面した鋳造業界のため雇用調整助成金の要件緩和に尽力されました。第三代木村博彦会長は、2015年5月の第3回アジア鋳造フォーラム(AFF)東京開催をはじめ、アメリカ、ドイツ、中国、台湾等と深く交流し、日本の鋳造業の国際化に貢献されました。
第四代伊藤光男会長は次の10 年を見据える第2 期ビジョンとなる鋳造産業ビジョン2017 の作成、取引改善ガイドラインの作成や金型取引改善協議会などに参画して下請取引の改善を進めるとともに、協会事業運営組織の再編も行い、アジア鋳造協会設立に協力されました。
その間、2009年7月には社団法人日本非鉄金属鋳物協会が、2014年5月には日本鋳造機械工業会が新たに加わり、文字通り鋳造産業を代表する組織となりました。これは偏に歴代会長をはじめとする協会の皆様方のご尽力によるものでございます。
さて、最近40 年間で日本の製造業を取り巻く環境は、まさに激変してまいりました。戦後の高度経済成長の中で日本の製造業が世界のモデルと高く評価されるようにまでなった時代から、新興国への安価調達生産移管、これらの国の経済成長と市場化に伴う現地生産への移行、日本の少子高齢化による製造業の人手不足や事業承継の困難も加わり国内の空洞化、中国の躍進による世界の製造拠点化や日本のライバル化、日本の大手製造業の凋落と完成品製造業から部品製造業化、GAFA の巨大化など世界市場の質的変化、世界覇権を争う米中対立の発生、IoT や通信分野における5G 普及による急激なデジタル革命の進展で、我が国と製造業の位置も激変にさらされています。
2019 年末に中国で発生した新型コロナウイルス感染症は、その後世界に拡散しパンデミックとなり、我が国でも2020 年4 月7 日に緊急事態宣言が出されました。外出自粛・在宅勤務推奨・出張自粛・営業自粛により経済はリーマン・ショックを超える窒息状態。当協会でも定例行事は全て中止、事務局は在宅勤務、理事会なども書面決議となり、テレビ会議も初めて本格的に導入しました。
国民の自粛協力効果で5 月に入り感染者数が激減し、5 月下旬以降は順次緊急事態解除されました。しかし時間を要するワクチンの開発普及まで、世界は元の状態には戻れないのではないかともみられています。
このような前代未聞の困難な状況の中ではありますが、会員・新役員の皆様とともに、日本鋳造業を守り成長させるための諸施策を見出し推進するため、皆さまのご協力をいただきながらまい進する所存でございます。経済産業省を始め関係官庁、関係団体並びに会員の皆様のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。
一般社団法人日本鋳造協会
会長 藤原 愼二
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