鋳造商品取引基本契約書

鋳造商品取引基本契約書の全面的改定について

当協会が、会員のための標準モデルとして2004年7月に制定した契約書については、以下の問題点があるため、今回全面的な改定を行い、下記の「鋳造商品取引基本契約書」を作成した。

1.現行の基本契約書の問題点

(1)取引基本契約書は本来取引の考え方(哲学&原則)“こうありたい”“こうあって欲しい”“
   しかし・・・だから最後は話し合いで互いの取引信頼関係を維持する”であり、取引関係者に
   とってバイブルでなければならない。
(2)鋳物メーカーの取引基本契約書が取引先に承認されるかどうかではなく、先ず我々鋳造業界の
   意識改革のためのバイブルでなければならない。
(3)資本主義では売手より買手が優位に立つが、多くの鋳造品取引は売切り取引でなく継続取引で
   あり、取引間の信頼関係が重要であり、従って“鋳造品取引の対等互恵”が貫かれなければなら
   ない。
(4)現行の取引基本契約書には、協会標準約款として配布するには、次のような不備なところが
   多々あり、改定する必要がある。

① 発注側の論理に基づいており、受注側(鋳造業界)として受容不可。契約書は契約を取り交わ
 したい側(鋳造業 者)が甲(主人公)であり、相手側(発注先)が乙であるのが普通であるべ
 き。
② この取引基本契約書の対象物は鋳造商品(加工を含む)に限定されているのに、資材、資材製
 造方法、半導体の回路配置・・等が使われている。全て鋳造関係に絞るべきである
③ 鋳造業界の長年の懸案事項である・価格是正・模型(型)保管管理・鋳造業界の技術(方案、
 模型設計技術、プロセス等)権利主張と保護・品質保証範囲等が織り込まれていない。

(5)取引契約書はあいまい性を明確にする(経営者の頭の整理)ためにも重要である。特に鋳造
   業界の自ら(甲)の権利主張なくしては、今後の発展はありえない。また従来の悪弊から甲乙
   が脱却するためにも取引契約書が重要である。 特に、鋳造用模型(型)は方案と並んで鋳造業
   者の技術の根底と考えるべきである。実際には甲の製作がほとんどであるにもかかわらず、旧来
   から鋳造用模型 (型)の製作費負担は乙にあり、貸与の形態を取っている。従って鋳造用模型
  (型)に関する技術(Know How)は誰に帰属するのか大変あいまいであり、これを明確にする事
   が大変重要である。

2.改定にあたって盛り込んだ事項 「鋳造商品取引契約書」の改定にあたっては、基本的に下記の事項を考慮して全面改定した。

2.1 中小企業を保護する“下請関連法”の趣旨が織り込まれなければならない。

① 親事業者の遵守すべき事項(通達「下請取引の適正化について」)
② 振興基準(通達「下請事業への配慮等について」)

2.2 また一昨年来、経済産業省が取り組んできた取引ガイドラインの下記のような考え方を
   考慮しなければならない。

(1)自動車産業適正取引ガイドライン中の調達の5原則

① 開かれた公正・公平な取引
② 調達相手先と一体となった競争力の強化
③ 調達先との共存共栄
④ 原価低減活動等における課題、目標の共有と成果シェア
⑤ 相互信頼に基づく双方向コミュニーケーションの確保

(2)産業機械・航空機における下請適正取引等の推進の為のガイドライン中の基本的考え

① 中小企業の取引における下請法の遵守とガイドラインの趣旨の徹底
② 調達先選定における調達先の総合的評価原則の確立
③ 合理的及び透明性を伴う原価低減要請の励行
④ 共同研究における下請企業の知的財産権保護の原則
⑤ 補修部品供給ルールの明確化 ⑥ 調達先への生産計画等の適切な情報開示

(3)その他の取引ガイドラインにおいても、いずれも“両者相互承認できる対等な契約書の締結と
   履行による共存共栄を”強調している。
   従って繰り返しになるが、鋳造業の我々が自らの取引基本契約書を作成、理解熟知し、交渉・
   締結に望む必要がある。
   つきましては、下記の契約書をダウンロードしていただき、ご活用くださいますようお願い
   申し上げます。