2026年 年頭所感 藤原会長

一般社団法人 日本鋳造協会
会長 藤原 愼二

明けましておめでとうございます。

会員並びに関係各位の皆様方には 2026 年の新春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。また、協会の運営に当たり、皆様方には格別なご理解とご協力を戴いておりますことに御礼を申し上げます。

 

昨年の概況

世界では、2024 年末再選されたトランプ大統領の高関税の揺さぶりで世界激震、ロシアのウクライナ侵略とイスラエルのガザ地区侵攻など 2 つの戦争事態が継続、欧州では移民激増で社会不安から保守主義政党が躍進、東アジアでは米中対立が激化し最先端技術製品の中国への輸出不可や中国のレアメタル輸出制限が世界に震撼を与え、米国の超高関税との応酬が続いたが、米中の交渉で当面の妥協成立。

日本では参議院選挙で与党敗北し石破首相退陣、高市氏が自民党総裁に選出されると公明党が与党から離脱、自民党と維新が連立して日本初の女性首相と女性財務相が誕生し、1999 年成立の政治枠組みが激変し、就任早々のトランプ会談・ASEAN と APEC と各国首脳との会談成功も国会質疑から日中外交や安全保障環境で緊張発生。外国人問題対策も重点検討項目に浮上。

中国の深刻な不動産不況での深刻な経済停滞と工業製品の価格低下やダンピング輸出は日本にも悪影響が継続。欧米のインフレ対策での高金利政策は、住宅建築の停滞などで世界の景況にも影を落とし始めた。少子高齢化で労働人口減少と残業規制強化や有給休暇の強制取得、育児休暇の男女への普及に加え、外国人研修生制度から育成就労制度への移行と特定技能 1号増加し、新卒の奪い合いや給与水準差での転職増加など、中小企業の労働力調達事情は一層厳しさを増している。

コロナで世界各国が行った財政資金供給で緩んだ金融のため、世界で進行するインフレは円安により我が国の諸物価高騰を招き、生活を守る賃上げは 5%レベルとなり、製品価格への反映が国・労働団体・経済団体の共通テーマとなった。

一方、経済苦境でデフレ傾向の中国など海外との競争のため、一部分野では価格反映どころか引き下げ要求や中国調達への切り替えの動きもあるなど難しい状況も発生している。まさに日本のものづくりの継続ができるかどうかが問われ始めている。

鋳造の需要の 6 割を占めるとも言われる自動車産業では、脱炭素に向けた EV 化の動きが厳冬期の電池能力低下問題表面化などから欧米では見直しの動きがあるものの、なお中国を中心に低価格化と普及進行で、日本の自動車メーカーの技術開発は脱内燃機関が続き、エンジン関連部品や駆動系の部品の将来に懸念が発生している。

 

我が国の生産状況

2025 年は 9 月までの生産量は銑鉄鋳物では、世界景況悪化を反映し減産基調が継続しており、経営を圧迫している。従業員減少と新規採用の不調により生産能力の減少が進行し、今後生産増の場合の対応に不安の懸念があるとの指摘も出ている。

 

取引改善

下請法が、「中小受託取引適正化法(取適法)」への名称変更を伴う大幅な改正が行われた。主な変更点には、価格協議の義務化、手形払いの禁止、製造委託の範囲拡大、従業員数基準が追加され面目を一新した。

インフレ対応や人材調達難による賃上げは進行しているものの、製品価格への反映は大企業と 1 次下請け中心に進んではいるが、2 次 3 次 4 次下請けではまだまだ不十分。型取引では保管費の支払い問題はなお道半ば。一部では海外競争理由の値下げ要求や海外転注の話も出てきて前途多難状況。人材不足と経営の後継者難は深刻度が増していて今後は M & A などによる事業継続が大きな課題として浮上するものと見込まれる。

 

当協会諸行事

昨年の主な協会行事として、春季大会・総会、鋳物議連総会への参加、若手経営者全国大会は IMONOMIRAI フォーラムと改称し大阪で開催、北海道開催の秋季大会、人材育成は入門・鋳造カレッジや、各部会の委員会・専門委員会活動などいずれも盛会で実施できた。

ISO 規格審議会、YPP/GIFA 等準備、第 16 回世界精密鋳造会議が神戸で開催、など国際活動も活発に行われた。カーボンニュートラル特別委員会はモデル工場事業実施。

そして、協会設立 20 周年記念式典を 2026 年 1 月29 日に東京で開催いたします。

 

結言

次々に押し寄せる想定を超える政治・経済・社会の激変や難題に対し、日本鋳造協会は微力ではありますが、会員の皆様とともに正面から取り組んで参ります。今後とも、関係各位のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

皆様にとって 2026 年が幸多き年になりますようお祈りいたします。

アサゴエ工業㈱代表取締役会長
岡山県鋳造工業協同組合 理事長