鋳造ジャーナル2020年8月号

目次

  • 市況トレンド 6
  • 学協会の動向 8
  • 会社往来 10
  • 技術解説日本の大砲シリーズ 増田安次郎の鋳鉄砲(中)
    早稲田大学名誉教授 中江 秀雄 14
  • 協会ニュース新型コロナウイルス感染症に対する影響調査 16
  • 海外技術ニュース鋳造サプライチェーンの対応 22
  • 海外技術ニュースアルミニウム合金用直接誘導加熱溶解炉 24
  • 海外技術ニュース製造にノンフィルパターンワックスを使用する 28
  • AM 法を用いた金型なしの精密鋳造および
    海外技術ニュース複雑なワックス成形金型の設計とシミュレーション 30
  • 海外技術ニュース銅はコロナウイルスを駆逐する 32
  • 海外技術ニュース将来の品質管理―知識と自律 34
  • 海外技術ニュース新型コロナウイルス感染症:ステイホーム命令後のビジネス再開
    通常の企業運営に戻るためには、特別な準備が必要とされる 40
  • 海外技術ニュースマテリアルズ社での30年にわたる3Dプリント技術開発 鋳物メーカーへの
    複雑な3Dプリントされたパターンを提供するCovid-19からの解放行動 42
  • 協会ニュース経産省素形材産業室長が交代 44
  • お知らせ「SEMによる鋳造欠陥の解析事例」購入申込書 48
  • お知らせ5団体共催セミナー開催のご案内 49
  • 編集後記/会員動向 56

カバーストーリー

川口の鋳物師・増田安次郎の鋳鉄砲

 江戸時代のわが国の大砲は主に鋳造による青銅製で、中には芝辻砲のような鋼の鍛造製もあるが、鋳鉄製はほとんどない。その原因は、江戸時代の銑鉄はタタラで造られており、珪素量が極めて少なく、白鋳鉄に凝固してしまい脆く・硬いので、大砲には適さなかったのである。したがって、この時代に数多く建設された反射炉は脱炭を伴うので、鋳鉄製の大砲はできなかった、と考えている。大砲ができるとは、形ができることではなく、弾丸の発射ができることを意味する。しかし、川口の鋳物師増田安次郎が天保15(1844)年に、ねずみ鋳鉄製の大砲の鋳造に成功していた。それが表紙に掲載した鋳鉄製の大砲で、筆者はこの砲がわが国最初の鋳鉄砲であろうと考えている。

(早稲田大学名誉教授・中江秀雄)

 

 表紙の写真は読者の皆さんからの投稿をお待ちしています。“鋳物”に関係があれば題材は問いません。電子媒体あるいは写真に簡単な説明文を添付し、編集委員会までお送りください。

(担当:玉村秀男 tamamura@foundry.jp